
デリーで見る犬には大きく分けて2種類あります。
一つはいわゆる野良犬、首輪なしで道路、歩道、市場、様々なところに当たり前のようにいます。
純血種と思われるような犬は皆無で、色は茶色だったり、白にブチがあったり、黒だったりと多種多様です。
小走りでうろうろしたり、何匹かでじゃれあったり、自由な暮らしをしている様子に、インドに来た当初、日本のペットの犬とは異質なものを感じ、これが本来の犬の姿に近いのかも、と思ったものでした。
人間に飼われたり、毎日えさをもらったりしているわけではないので、人になつく事も、こびる事も、危害を加えられない限り、向かってくる事もなさそうです。
人間と互いに干渉しあうことなく、共存しているように見えます。
車や牛や人が行きかう中での暮らし、分をわきまえている、と言った感じでしょうか。
インドの犬は全部そういう犬なのかなあ、と思い始めた頃、リードに繋がれた、純血種の犬を目にしました。
これがもう一種類のインドの犬、ペットとして飼われている犬です。
貧富の差のとても大きいインド、裕福な人たちも沢山います。
彼らの中には日本や欧米と同じように、ラブラドール・レトリーバー、シェパード、ダルメシアンなどを大事に家の中や、敷地内で飼っている人もいるようです。
朝や夕方、そういう犬達の散歩姿を見かけることがあります。
散歩させているのはたいてい、使用人と思しき人です。
首輪とリードをつけ、肌寒かった1〜2月はなぜか、どの犬もお約束のように、タータンチェックの胴衣のようなウェアをまとっていました。
上の写真は我が家のオーナーが飼っている「おばあちゃん犬」です。
彼女はご覧の通り、純血種ではなく、おなかの皮も相当たるんで、首輪がなければ、道にいる野良犬と同じような風貌です。
これは庭に放し飼いにされているのですが、もう一匹白にベージュのブチの、やはり雑種のオスを家の中で飼っています。
オーナー夫妻は犬は純血、とこだわっていないのでしょう。
私の見たところ、これは富裕層には珍しいことのようです。
インドにはまだまだ狂犬病が多く、犬に限らず街にいる動物達は感染している危険性があり、触らない方が賢明、と言うところです。
オーナーのおばあちゃん犬、野良犬のような風貌からか、我が家に来る、知人や、子供の友達に
「狂犬病にかかってない?」と恐れられています。
オーナー夫妻は2,3階に住み、私達一家は1階を借りているのですが、おばあちゃん犬は我が家の玄関前に陣取っている事もしばしばです。
つい最近新しく雇ったチョキダール(門番)はウチの犬と勘違いして、「マダム、この犬は外で飼われているのですか? それとも中ですか?」
と質問して来ました。

雨が激しかった先日などは、毛色と全く同じ色の我が家前の玄関マットにうずくまっていたので、夜ドアをあけて、外を確認した私は玄関マットが盛り上がっているのかと思い、踏みそうになったほどでした。
直前に気づいて、踏まなかったのは幸いでした。
日常的に街でよく見る動物は、牛と犬ですが、そのほかにもいろいろな動物を見かけます。
猿やリスは野生、野鳥も名前も知らず、聞いた事もないような鳴き声のものが、沢山います。
バード・ウォッチングが趣味、と言う方には、魅力的なところかもしれませんね。
あとは、荷物運びに使われているロバ、インド版リヤカーを引いている馬、婚礼の時に花婿が乗る白馬(!)、貧困層の人が飼っているらしい豚も見かけます。
象やラクダは特殊なもののようですが、たまに道を歩いています。
日本と比べてはるかに少ないのが猫です。
野良猫は犬に比べると圧倒的に少ないですし、猫の鳴き声も殆ど耳にしません。
が、インドに来て2ヶ月後、船便の梱包を解いて、箱を外に出して置いたところ、その中で、野良猫が仔猫を4匹生んでしまいました。

メイドが報告に来て、見に行ってみると、本当に生まれたての仔猫です。母猫はどこかへ行ってしまったというので、さてどうしましょうということになりました。
敷地はオーナー夫妻のものなので、チョキダール(門番)にオーナーの奥様を呼んで来てもらったのですが、1階に住んでいる人が庭での出来事の権利と責任を負うのだとか、で「私」にきめるように、というのです。
ここに猫がいつくのが嫌なら、使用人に捨ててくるように指示を出して、ということなのですが、「捨ててきて」とはなかなか言えず・・・。
「よそへ捨てたら、生き延びられるのでしょうか?」などと、質問してしまいました。
奥様は、野良猫なんて汚くて、見るのも触るのも嫌という感じで、覗き込んだウチの子供にも「ダメ、ダメ、さわっちゃダメよ〜。汚いんだから!!」と必死に言ってくださいました。
が、「とにかく、あなたのお好きなようにね。」と言い残して、家に入ってしまわれました。
私はというと、夫のドライバーや、メイド、門番など、いろいろな人に「ねえ、どうしたらいいと思う?」と聞いたものの、結局暫く様子を見ましょう、運がよければ、仔猫が少し大きくなったら、どこかへ行くでしょうということになりました。
数日後、メイドが、「マダム、母猫が仔猫を一匹ずつつれて塀を乗り越えて行きましたよ」と嬉しそうに報告して来たので、
「いよいよ引越しね!」と喜んでいたところ、
次の日にはまた一匹ずつ連れて戻ってきてしまいました。
困ったわねえといいながらも、仕方ないか、と諦めかけていたころ、何を思ったのか、「おばあちゃん犬」が、箱を外から執拗にがりがりと前足で引っかいて、猫達が大パニックになりました。
私達も仔猫が犬に襲われるところを想像してぞっとし、箱をそうっと犬の届かない場所へ移したのですが、さすがにここは危険、とばかり、親子は引っ越していきました。
その後、たまにあの時の母猫のような三毛猫がウチの庭を通り抜けていくのを見かけるのですが、仔猫の姿は見ていません。
無事に大きくなっているのか、何か災難が降りかかってしまったのかは不明です。